主賓挨拶でユーモアはどこまで?恩師・取引先が話すときの上品な笑いと例文

司会者がマイクの前で、舞台袖から出てきた2人を紹介する様子

主賓挨拶にユーモアを入れるなら、1〜2か所、誰も下げない上品な笑いにとどめます。恩師や取引先など、上司以外の目上の人が話すときは、「自分の緊張」か「本人の意外な一面」を材料にします。改まった挨拶の中でも、会場がふっとなごみます。

この記事では、主賓挨拶の構成とユーモアを置く場所、上品な笑いの作り方と避けたい笑いを紹介します。新郎側(取引先の社長)と新婦側(大学の恩師)の例文もあります。上司として話す場合は、「上司の結婚式スピーチ例文」を参考にしてください。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 主賓挨拶のユーモアは「1〜2か所・誰も下げない」まで
  2. 主賓挨拶の構成と、ユーモアを置く場所
  3. 上品なユーモア3つ:自分の緊張・本人の意外な一面・立場ならではの一言
  4. 主賓挨拶で避けたい笑い
  5. 主賓挨拶の例文(新郎側・新婦側)
  6. 笑いを生かす話し方と当日の動き
  7. 改まった場で失敗したくないときは
  8. よくある質問
  9. まとめ

主賓挨拶のユーモアは「1〜2か所・誰も下げない」まで

主賓は、招待客の中で最も中心となるお客さまです。恩師なら学校を、取引先なら会社を代表して、お祝いを伝える立場になります。主賓挨拶は披露宴のはじめ、乾杯の前に話すことが多く、会場はまだ少し緊張しています。

そこで主賓が小さな笑いを1つ入れると、会場の空気がほどけ、そのあとの乾杯や歓談も明るく始まります。目上の人が話す改まった挨拶だからこそ、小さな笑いがよく効くのです。

ただし、主賓の言葉は会場で重く受け止められます。どこまでなら上品かの目安は、次の3つです。

  • 笑いは1〜2か所まで(4分の挨拶でも、2か所あれば十分)
  • 笑いの材料は、自分のことか、本人をほめる方向の一面だけ
  • 笑いのすぐあとに、本人の人柄をほめる一文を続ける

主賓挨拶の構成と、ユーモアを置く場所

主賓挨拶は、型がしっかり決まっているスピーチです。時間は3〜5分が目安で、読み上げる速さは1分に300字前後なので、4分なら1,200字ほどの原稿になります。ユーモアを置くのは、自己紹介とエピソードの2か所です。

順番話すことユーモア時間の目安(4分の場合)
1新郎新婦への着席のすすめなし5秒
2新郎新婦とご両家へのお祝いなし20秒
3自己紹介と、新郎新婦との関係緊張か立場ならではの一言を1つ30秒
4人柄が伝わるエピソード本人の意外な一面を1つ100秒
5パートナーへのひと言なし20秒
6ご両家への言葉と、はなむけなし35秒
7結びの言葉なし30秒

主賓挨拶のあいだ、新郎新婦は立って聞いていることがよくあります。最初に「どうぞおかけください」と声をかけると、2人も会場も落ち着いて話を聞けます。原稿ができたら、スピーチ時間の計算ツールで時間を確かめましょう。笑いが起きると待つ時間も要るので、練習で4分なら本番は4分半ほどと考えておきます。

ご両家に向けた言葉を忘れない

主賓挨拶が友人のスピーチと違うのは、ご両家に向けた言葉が入ることです。冒頭のお祝いと結びで両家にふれ、エピソードのあとには、自分が招かれた側ではない家族にも一言かけます。

新郎側の主賓なら、「新婦〇〇さんのご家族の皆さま、〇〇さんは、私どもが安心して仕事をお任せしてきた方です」のように話します。「嫁にもらう」のような言い方は避け、「新しい家庭を築く」のように、2人を主語にすると安心です。

上品なユーモア3つ:自分の緊張・本人の意外な一面・立場ならではの一言

主賓らしい上品な笑いは、次の3つから作ります。恩師と取引先で、使いやすい言い方が少し変わります。

ユーモアの種類恩師の場合取引先の場合
自分の緊張「教え子の結婚式のマイクの前では、いまだにひざがふるえます」「どんな商談でも平気なのですが、本日は朝から、ネクタイを3回締め直しました」
本人の意外な一面「ゼミでは誰より静かだった〇〇さんが、聞き取りに行った商店街では、誰より大きな声で笑っていました」「いつも穏やかな〇〇さんが、結婚のご報告のときだけは、名刺を出す手がふるえていました」
立場ならではの一言「本日は試験もレポートもございませんので、どうぞ安心してお聞きください」「〇〇さんとは100回を超える打ち合わせをしてまいりましたが、資料なしでお話しするのは今日が初めてです」

自分の緊張は、目上の人ほどよく効く

主賓は、会場から「立派な人」と見られています。その人が「緊張しています」と素直に言うと、会場は親しみを感じて、温かく笑ってくれます。自分を少し下げて笑いを取るこの形を「自虐」といい、誰も傷つけないので、主賓の笑いにいちばん向いています。

本人の意外な一面は、ほめる方向だけ

恩師や取引先は、家族や友人が知らない「外の顔」を知っている立場です。その顔と、今日の晴れ姿との差が、上品な笑いになります。使うのは、本人の良さが伝わる一面だけにし、笑いのあとに「それほど大切な日だったのだと思います」のように、人柄につなげます。

立場ならではの一言は、その人にしか言えない

恩師なら試験やレポート、取引先なら打ち合わせや資料のように、立場にかけた一言を考えます。その人にしか言えない一言なので、会場の印象に残ります。自己紹介のすぐあとに置くと、自然なツカミ(最初に聞き手の心をつかむ一言)になります。

主賓挨拶で避けたい笑い

主賓の言葉は、冗談のつもりでも「評価」として受け取られやすいものです。次のような笑いは、会場がその場で笑っても、本人や家族があとで気まずくなります。

避けたい笑い例理由
学生時代の成績や失敗の暴露「〇〇くんは、レポートの提出がいつもぎりぎりでした」恩師に言われると、冗談でも評価に聞こえる
仕事での失敗やトラブルの話「〇〇さんには、納期で何度もはらはらさせられました」取引先の言葉は、仕事の評価として重く受け取られる
自社や自分の宣伝「当社の新製品も、どうぞごひいきに」お祝いの場が、商談の場になってしまう
結婚観の押しつけ「結婚は忍耐です」2人の門出にそぐわない
家庭への口出し「早く跡継ぎを」2人が決めることで、重荷になる
長い昔話自分の若いころの苦労話主役が自分になり、乾杯が遅れる

見た目や年齢をからかう話、下ネタ、お酒の失敗の話も、もちろん入れません。結婚式のスピーチで入れてよい笑いと避けたい笑いの線引きは、「結婚式のスピーチで笑いはマナー違反?」でくわしく比べています。

主賓挨拶の例文(新郎側・新婦側)

〇〇を名前や会社名に、エピソードを自分の立場のものに書きかえて使ってください。( )の中は動きの説明なので、読みません。

例文1:新郎側の主賓・取引先の社長から(約3分半)

新郎が独立して仕事をしていて、長く付き合いのある取引先の社長が主賓を務める例文です。笑いは、立場ならではの一言と、名刺の話の2か所です。

例文新郎側の主賓・取引先の社長から(約3分半)

(新郎新婦のほうを向いて)
〇〇さん、〇〇さん、どうぞおかけください。

(会場へ向けて)
〇〇さん、〇〇さん、ご結婚誠におめでとうございます。
〇〇家、〇〇家ご両家の皆さま、ならびにご親族の皆さまにも、心よりお祝い申し上げます。
ただいまご紹介にあずかりました、株式会社〇〇の代表を務めております、△△でございます。
新郎の〇〇さんには、この5年間、当社のカタログやホームページのデザインをお願いしてまいりました。
〇〇さんとは100回を超える打ち合わせをしてまいりましたが、資料なしでお話しするのは、今日が初めてでございます。
(笑いが静まるのを待つ)
少々心細いので、原稿を見ながら申し上げることをお許しください。

〇〇さんの仕事ぶりをひと言で申し上げると、「約束の前に、必ず一度お電話をくださる方」です。
納期の3日前になると、必ず「途中ですが、一度見ていただけますか」とお電話をくださいます。
おかげで当社は、5年間、一度も慌てずに新しいカタログを作ることができました。
社内では、〇〇さんからの電話が鳴ると、「そろそろ納期だ」と分かるほどです。

そんな〇〇さんが、先日、結婚のご報告に来てくださいました。
いつもは穏やかな〇〇さんが、そのときだけは、名刺を出す手が少しふるえていました。
(少し間をとる)
5年のお付き合いですので、名刺はもう、いただいているのですが。
(笑いが静まるのを待つ)
それほど大切なご報告だったのだと、私もうれしくなりました。

新婦の〇〇さん。
〇〇さんは、大事なことの前には、必ず一度立ち止まって確かめる方です。
これからは、その確かめの電話の相手が、〇〇さんになるのだと思います。

新婦〇〇さんのご家族の皆さま、〇〇さんは、私どもが安心して仕事をお任せしてきた方です。
これからも、取引先の一つとして、そしてお二人を応援する一人として、末永くお付き合いいただければ幸いです。
結びになりますが、お二人の末永いお幸せと、ご両家のご繁栄を心よりお祈り申し上げ、お祝いの言葉とさせていただきます。
本日は、誠におめでとうございます。

名刺の話は、新郎の緊張を笑いにしていますが、すぐに「それほど大切なご報告だった」と受けています。笑いがからかいで終わらず、結婚を喜ぶ気持ちとして伝わります。

例文2:新婦側の主賓・大学の恩師から(約3分)

学生時代の恩師が、教え子の学びの様子から人柄を伝える例文です。笑いは、試験の一言と、卒業論文の謝辞の話の2か所です。

例文新婦側の主賓・大学の恩師から(約3分)

〇〇さん、〇〇さん、ご結婚おめでとうございます。
ご両家ならびにご親族の皆さま、本日は誠におめでとうございます。
新婦の〇〇さんが学んだ、〇〇大学〇〇学部のゼミで指導をしておりました、△△でございます。
本日は試験もレポートもございませんので、皆さま、どうぞ安心してお聞きください。
(笑いが静まるのを待つ)
教え子の晴れの日に、このようにお祝いを申し上げる機会をいただき、大変うれしく思っております。

〇〇さんは私のゼミで、地域の商店街について研究をしていました。
ゼミの学生の中でも、〇〇さんほど現場に足を運んだ学生はいません。
商店街のお店を一軒ずつ訪ね、2年間でおよそ80軒のお話を聞いてまとめました。
卒業論文の謝辞には、お店の皆さんのお名前がずらりと並んでいました。
(少し間をとる)
あれほど長い謝辞は、私の教員生活でも初めてです。
私の名前は、その一番下にありました。
(笑いが静まるのを待つ)

〇〇さんの研究の良さは、相手の話を、相手の言葉のまま大事に書き残すところにありました。
人の思いを、まっすぐに受け止められる人なのだと思います。

新郎の〇〇さん。
〇〇さんは、一度決めたら、自分の足で確かめに行く人です。
これからは、そのとなりを一緒に歩いてあげてください。

新郎〇〇さんのご家族の皆さまにも、〇〇さんの人柄が少しでも伝われば幸いです。
お二人の新しい暮らしが、たくさんの人とのご縁に恵まれたものになりますように。
お二人の末永いお幸せと、ご両家のご繁栄をお祈りして、お祝いの言葉とさせていただきます。
本日は、誠におめでとうございます。

「私の名前は、その一番下にありました」は、恩師が自分を少し下げる自虐です。そのすぐあとに研究の良さを話しているので、笑いが新婦へのほめ言葉に変わります。

笑いを生かす話し方と当日の動き

主賓の笑いは、くすっと笑いが起きれば十分です。言い方は、次の3つを守ると上品にまとまります。

  1. 笑いの一言の前に、半拍だまる
  2. 自分から先に笑わず、落ち着いた声で言う
  3. 笑いが起きたら、静まるのを待ってから次の文へ進む

笑いが起きなかった(スベった)ときは、何も言わずに次の文へ進みます。主賓挨拶は改まった場なので、言い訳の一言は要りません。原稿は白い封筒に入れておき、見ながら話しても失礼には当たりません。

当日は、開宴の前に司会者に挨拶し、名前の読み方と、紹介してもらう肩書を確かめておきます。呼ばれたらマイクの前に進み、新郎新婦と会場に一礼してから話し始め、話し終えたら一礼して席に戻ります。

改まった場で失敗したくないときは

主賓挨拶は、会場でいちばん改まったスピーチです。ふだん人前で話す機会が少ないと、言葉づかいにも笑いの加減にも迷うものです。

よくある質問

恩師ですが、学生時代の本人しか知りません。

学生時代の話だけで十分です。成績や失敗ではなく、何かに打ちこんでいた姿を1つ選ぶと、今の人柄につながります。社会人になってからの様子は、新郎新婦に一言聞いて、はなむけの前に添えましょう。

取引先として、仕事の顔しか知りません。

仕事ぶりの話で十分です。会場の多くの人は本人の仕事の顔を知らないので、取引先から見た姿はそれだけで新鮮に聞こえます。取引の金額や中身にはふれず、人柄が伝わる場面を選びます。

主賓挨拶と乾杯の挨拶は、どう違いますか?

主賓挨拶は、学校や会社を代表してお祝いを伝えるスピーチで、3〜5分ほど話します。乾杯の挨拶は、乾杯の発声の前に短くお祝いを述べるもので、1分前後です。乾杯を頼まれた場合は「結婚式の乾杯の挨拶を面白くするには」を参考にしてください。

まとめ

  • 主賓挨拶のユーモアは1〜2か所、誰も下げない上品な笑いにとどめる
  • 材料は、自分の緊張、本人の意外な一面、立場ならではの一言の3つ
  • 笑いのすぐあとに、本人の人柄をほめる一文を続ける
  • 学生時代や仕事の失敗の暴露、宣伝、結婚観の押しつけは入れない
  • 上司として話す場合は、上司向けの構成とユーモアを参考にする
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