ネタ帳は、思いついたことを「見たこと・思ったこと・ボケ案」に分けて書いておくと、あとでネタに育てやすくなります。そして大事なのは、書くことより見返すことです。週に1回見返して印をつけるだけで、ばらばらのメモがネタの材料に変わります。
この記事では、ネタ帳に書くことと書き方の型、見返し方、紙とスマホのどちらを使うかの考え方を、書き込みの例と一緒に紹介します。ノートでもスマホでも、今日から始められる方法です。
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ネタ帳に書く5つのこと
ネタ帳には、面白いことだけを書く必要はありません。むしろ、「なんだか変だな」と感じた小さなことのほうが、あとでネタになりやすいものです。書くことは、次の5つに分けると迷いません。
| 書くこと | 例 |
|---|---|
| 見たこと | 駅の階段で、全員が同じ側に寄って上っていた |
| 聞こえた言葉 | 「少々お待ちください」のあと、けっこう待った |
| 疑問に思ったこと | 傘は、なぜ晴れた日にだけ忘れないのか |
| 思いついた一言 | 「この会議、議題より休憩の話が長い」 |
| 設定の案 | 目覚まし時計売り場の店員が、いちばん眠そう |
1件は1行か2行で十分です。思いついたその場で書けるように、文章をととのえる必要はありません。
書かないほうがいいこと
人の悪口や、誰のことか分かる失敗談、家族や友人が知られたくない話は書かないようにしましょう。ネタ帳は人の目にふれることもあります。容姿や年齢、出身をからかうメモも、ネタにすると笑えない人が出るので残さないのが安心です。
ネタ帳の作り方|書く前にノートを準備する
ネタ帳は、書き始める前に少しだけ準備しておくと、あとで探すときに困りません。用意するのは、ノート1冊とペン1本だけです。
- 表紙に「ネタ帳1」と番号を書き、使い始めた月を書いておく
- 最初の2ページは空けておき、あとで目次(テーマと書いたページ)にする
- 見開きの左ページにメモを書き、右ページは見返したときの書き足し用に空ける
- メモにつける記号を決めて、表紙の裏に書いておく
| 記号 | 意味 |
|---|---|
| ○ | 見返しても、まだ気になる |
| ◎ | ネタに使えそう。ボケ案を足す |
| → | ほかのメモとつながる(相手のページ番号を書く) |
| 済 | 台本に使った(台本の題名を書く) |
右ページを空けておくのは、見返したときに、ボケ案や思いついた続きを書き足すためです。1つのメモの横に、あとから考えたことが並ぶので、ネタが育っていく様子がひと目で分かります。
あとでネタにしやすい書き方の型
メモは時間がたつと、書いた本人でも何が面白かったのか分からなくなることがあります。あとで読み返して使えるように、次の型で書くのがおすすめです。
〇月〇日
見たこと:コンビニのレジで、「袋はご利用ですか」に前の人が「大丈夫です」と答え、店員さんが一瞬止まった
思ったこと:「大丈夫です」だと、いるのか、いらないのか分からない
ボケ案:何を聞かれても「大丈夫です」と答える客
使えそうな形:コント(レジの場面)/漫才の出だし
ボケ案とは、見たことを普通からわざとずらした一言の案です。いちばん大切なのは、「見たこと」と「思ったこと」を分けて書くことです。見たことを事実のまま残しておくと、あとで別のずらし方を思いついたときにも使えます。
急いでいるときは、「見たこと」の1行だけで十分です。ほかの欄は、見返すときに埋めれば間に合います。
週に1回の見返し方
ネタ帳は、書きっぱなしではネタになりません。週に1回、時間を決めて見返しましょう。
- 曜日と時間を決めて開く(例:日曜の夜に15分)
- 1週間分を読み、今読んでも気になるものに○をつける
- ○のついたメモの右ページに、ボケ案を3つまで書き足す。使えそうなら◎にする
- 同じテーマのメモが2〜3個たまったら、→でつないで1つの設定にまとめる
- ネタに使ったメモには「済」と台本の題名を書き、目次にも書き足す
○をつけるときは、「面白いか」ではなく「まだ気になるか」で選ぶのがコツです。気になるメモには、自分がまだ言葉にできていないずれ(普通との違い)が隠れています。
メモをネタに育てた例
見返しの4番目、「同じテーマのメモを1つの設定にまとめる」の例です。コンビニのレジについて書いた3つのメモから、1本のコントの設定を作りました。
メモ1:「大丈夫です」だと、いるのか、いらないのか分からない
メモ2:ポイントカードを探しているあいだ、後ろの列が静かになる
メモ3:「温めますか」に、なぜか小声で答えてしまう
まとめた設定:何を聞かれてもあいまいに答える客と、はっきりさせたい店員
台本設定から書き出した冒頭
(コンビニのレジ。客が商品を置く)
店員袋はご利用ですか。
客大丈夫です。
店員……いる「大丈夫」ですか。いらない「大丈夫」ですか。
客大丈夫です。
店員温めますか。
客(小声で)大丈夫です。
店員小さい声の「大丈夫」は、どっちですか。
客大丈夫です。
店員……ポイントカードはお持ちですか。
客(財布の中を探しながら)大丈夫です。
店員探してるじゃないですか。
1つのメモだけでは1行のボケで終わりますが、3つ集まると、同じ答えをくり返して笑いを大きくしていく流れが作れます。同じボケをくり返す方法は「天丼」と呼ばれ、くわしいやり方は「天丼(くり返しのボケ)のやり方」で紹介しています。
身近な場面のメモは、そのまま共感で笑わせるネタにもなります。作り方は「あるあるネタの作り方」を見てください。
演じたあとの記録も残す
育てたネタを人前で演じたら、その日のうちにネタ帳へ記録を残しましょう。次に台本を直すときの、いちばん役に立つ材料になります。
〇月〇日 「レジの大丈夫」(約2分)
笑いが大きかった所:小さい声の「大丈夫」
反応がうすかった所:ポイントカードの所(説明が長い)
次に直すこと:財布を探す動きを、セリフより先に始める
紙のノートとスマホのメモの比べ方
ネタ帳は、紙のノートでもスマホのメモでも作れます。それぞれに得意なことがあるので、使う場面で選びましょう。
| 比べること | 紙のノート | スマホのメモ |
|---|---|---|
| 思いついてから書くまで | ペンを出す手間がある | いつも持っているので速い |
| 見返しやすさ | ページを開いて全体を眺めやすい | 言葉で検索して探しやすい |
| 矢印や図 | 自由に書き込める | 書きにくい |
| なくしたとき | 書いた物は戻らない | バックアップがあれば戻せる |
| 人前で書くとき | 開くと目立つ | 自然に書ける |
迷ったら、その場ではスマホに1行だけ書き、週1回の見返しで紙に写すやり方がおすすめです。写すときに残すものを選ぶので、ノートには育てる価値のあるメモだけが集まります。
スマホで書くときのひと工夫
ネタ帳用のメモを1つ作り、新しいことをいつもいちばん上に足していくと、あとから探しやすくなります。ほかの用事のメモとまざらないように、題名の頭に「ネタ」とつけておくのも手です。
ネタ帳を続けるための工夫
ネタ帳は、続けてこそ役に立ちます。三日坊主にならないように、書くハードルを下げておきましょう。
- 1日1行でよいと決める。何もない日は「なし」と書くだけでもよい
- 書く時間を決めておく(帰りの電車、寝る前など)
- ペンをノートにはさんでおくか、スマホのメモをすぐ開ける場所に置く
- 書けなかった日を数えない。空いた日があっても、次の日から再開する
何を書けばいいか分からない日は、自分で問いを決めて探すと見つかりやすくなります。「今日、待たされた所は?」「今日、聞きまちがえた言葉は?」といった問いです。素材を見つけるための問いは、「ネタの素材の集め方」でまとめて紹介しています。
よくある質問
ネタ帳には、どんなノートを使えばいいですか?
持ち歩ける大きさで、ページがはずれないものなら何でもかまいません。見返すときに書き足せるように、1件ごとに少し余白をあけておくと使いやすくなります。
古いメモは捨ててもいいですか?
捨てずに残しておきましょう。書いたときには使い道がなかったメモが、別のネタを書いているときに役立つことがあります。使い終わったノートは、表紙に使った期間を書いておくと探しやすくなります。
コンビの場合、ネタ帳は2人で1冊にしたほうがいいですか?
それぞれが自分のネタ帳を持つほうが、気楽に書けて続きます。そのうえで、ネタを作る打ち合わせのときに、◎のついたメモを持ち寄りましょう。2人で同じメモを共有する場合は、誰が書いたかが分かるように、1件ごとに頭へ名前の1文字をつけておくと話がしやすくなります。
見返しても、ネタにならないメモばかりです。
最初はそれでかまいません。○がつくのが1週間に1つでもあれば十分です。ネタ帳を使って書き始める方法は、「ネタが書けないときの書き始め方」でも紹介しています。
まとめ
- ネタ帳には、面白いことより「なんだか変だな」と感じたことを書く
- 1件は「見たこと・思ったこと・ボケ案・使えそうな形」に分けて書く
- 週に1回見返して、まだ気になるメモに○をつける
- 同じテーマのメモが2〜3個たまったら、1つの設定にまとめる
- その場はスマホ、見返しで紙に写すと、残すメモが自然に絞られる






