昔話をコメディにする台本の作り方|学芸会・発表会向けの短い台本つき

はちまき姿の子が、動物の衣装の子に大きなおにぎりを差し出す

昔話をコメディにするには、みんなが知っている話の筋はそのままにして、登場人物の性格や話の見方を1か所だけずらすのが近道です。筋を知っているお客さんは「ここはこうなるはず」と思って見ているので、小さなずれでも笑いが起きます。この記事では、コメディに変える手順と、学芸会で使える「ももたろう」のオリジナル台本、配役の工夫を紹介します。

目次目次を閉じる目次を開く
  1. 昔話がコメディに向いている理由
  2. 昔話をコメディに変える4つの手順
  3. 台本「ももたろう おとものオーディション」
  4. 全員に見せ場を作る配役の工夫
  5. ほかの昔話で作るときのヒント
  6. よくある質問
  7. まとめ

昔話がコメディに向いている理由

昔話は、子どもから大人まで、話の筋を知っている人がほとんどです。お笑いでは、笑いの前に「ふつうはこうなる」と見せておく部分をフリといいます。昔話は、そのフリが最初からできあがっている話なのです。

登場人物の役割がはっきりしているのも、昔話のよいところです。やさしいおじいさん、強い桃太郎のように、お客さんが思いうかべる人物像があるので、性格を少し変えるだけで笑いになります。

絵本や映像の文章は写さない

昔話そのものは、昔から語りつがれてきた話なので、筋を使って自由に台本を作れます。ただし、今の作家が書いた絵本の文章や絵、アニメのセリフは、その人たちの作品です。文章は写さずに、筋だけを借りて自分たちの言葉で書きましょう。

昔話をコメディに変える4つの手順

台本は、次の4つの手順で作ります。いきなりセリフを書き始めるより、場面を先に決めておくほうが、話がぶれません。

  1. 昔話を1つ選び、話を4〜6つの場面に分けて書き出す
  2. 下の表から、「ずらし方」を1つだけ決める
  3. 場面ごとに、ずらし方に合ったボケを1〜2個入れる
  4. 終わり方を決める(元の結末に戻すか、ひとひねりする)
ずらし方やり方例
性格を変える登場人物の性格を、元の話と逆にする怖がりな鬼、のんびりした桃太郎
今の物を持ちこむ昔の世界に、今の道具やしくみを入れる玉手箱に、分厚い説明書が入っている
立場を逆にする助ける側と、助けられる側を入れかえる鬼のほうが、桃太郎たちに助けを求める
わき役の目で語る主役ではない人物や物の目線で話を進める転がるおむすびの目線で、おむすびころりんを語る
一瞬の場面を大きくする元の話では短い場面を、長く大げさに演じる玉手箱を開けるかどうか、浦島太郎がずっと迷う

ずらし方は1つにしぼるのがコツです。いくつも混ぜると、何が面白いのかが伝わりにくくなります。ずらし方の型は「コントの設定の作り方」でも詳しく紹介しています。

台本「ももたろう おとものオーディション」

桃太郎が、おともを選ぶオーディションを開く台本です。おともたちの「とくいなこと」が少しずつずれていて、最後は鬼が仲間になりたがります。たたかう場面がないので、低学年から高学年まで演じられます。

時間
約5分
人数
8人から(役を分ければ、何人でも)
準備物
「おとも募集中」の看板、画用紙で作った大きなきびだんご、かご、動物と鬼のお面
難しさ
★★

台本ももたろう おとものオーディション(約5分)

(舞台の右に、段ボールの木と岩。ナレーター1・2が左のはしに立つ)

ナレーター1むかしむかし、桃から生まれた桃太郎は、鬼ヶ島へ行くことになりました。

ナレーター2でも、ひとりでは心細い。そこで、おともを募集することにしました。

(桃太郎が「おとも募集中」の看板を持って、中央に出てくる。おばあさんが、大きなきびだんごを持って追いかけてくる)

おばあさん桃太郎や、きびだんごを持っておいき。

桃太郎ありがとう、おばあさん。……大きくない?

おばあさんはりきって、大きく作りすぎてしもうた。

桃太郎(両手で受け取って、よろける)重い。

(おばあさんが手をふって下がる)

桃太郎では、オーディションを始めます。おともになりたい人は、どうぞ。

(犬が、かごを持って元気よく出てくる)

犬はい。犬です。よろしくお願いします。

桃太郎とくいなことは何ですか。

犬ほえることです。ワン。

桃太郎ほかには?

犬ほえることです。ワンワン。

桃太郎……ほえることしかないの?

犬大きくほえることも、できます。ワオーン。

桃太郎合格です。きびだんごを1つどうぞ。(大きなきびだんごを差し出す)

犬大きい。……おべんとうは自分で持ってきたので、だいじょうぶです。(かごを見せる)

桃太郎しっかりしてる。

(さるが、手をくるくる回しながら出てくる)

さるはい。さるです。

桃太郎とくいなことは何ですか。

さる木のぼりです。

桃太郎ここには、木がないけど。

さるでは、のぼったつもりで。(その場で、木にのぼるまねをする)……てっぺんにつきました。

桃太郎見えないけど、すごそう。合格です。

(きじが、両手を広げて出てくる)

きじはい。きじです。

桃太郎とくいなことは何ですか。

きじ空を飛ぶことです。

桃太郎見せてください。

きじ(両手をばたばたさせる)……今日は、風がないので。

桃太郎……合格です。

ナレーター1こうして、おともが3びき、そろいました。

ナレーター2ところが、そこへ、もう1人。

(鬼が、もじもじしながら出てくる)

鬼あの……ぼくも、受けていいですか。

桃太郎たち鬼だ。

(桃太郎と動物たちが、びっくりして後ろに下がる)

桃太郎……とくいなことは、何ですか。

鬼鬼ヶ島までの、道あんないです。

さるそれは助かる。

きじ飛ばなくてすむ。

犬ワン。

桃太郎でも、どうして鬼が、ぼくたちと行きたいの?

鬼ぼくたちは、村の宝物を持っていってしまいました。返そうって仲間に言いたいけど、1人では言えなくて。

(少し静かになる)

桃太郎……そうだったんだ。合格です。みんなで一緒に行こう。

犬・さる・きじおー。

桃太郎はい、鬼さんにも、きびだんご。(大きなきびだんごを差し出す)

鬼(両手で受け取って、よろける)重い。

(全員で顔を見合わせて笑う)

ナレーター1こうして桃太郎たちは、鬼の道あんないで、鬼ヶ島へ向かいました。

ナレーター2鬼ヶ島では、みんなで大きなきびだんごを分けて食べ、宝物は村に返されました。

ナレーター1・2めでたし、めでたし。

(全員で舞台の前に並び、一礼)

この台本では、おともが合格する理由をずらし、最後に鬼の立場を逆にしています。おばあさんの場面の「重い」を、鬼の場面でもう一度使っているので、終わりの近くで笑いが起きやすくなります。

全員に見せ場を作る配役の工夫

学芸会では、クラスの全員が舞台に立つことも多く、役の数と人数が合わないことがあります。次のような工夫で、全員に見せ場を作りましょう。

工夫やり方
1つの役を交代で演じる場面ごとに桃太郎役を交代する。同じはちまきを付けて、同じ役だと分かるようにする
グループで1つの役犬チーム3人のように、セリフを声をそろえて言う
ナレーターを分ける1人1〜2文ずつにして、4〜6人で読む
体で背景を作る木や岩、川を、体やお面で表す。風にゆれる木の動きで笑いも取れる
受けに来る動物を増やすねこ、うさぎなど、オーディションを受ける動物を足す

鬼の役をいやがる子がいたら、この台本のように、やさしい鬼にすると引き受けてもらいやすくなります。役は、セリフの多さを本人と相談して決めましょう。

動物を増やすときのセリフの型

「とくいなことは何ですか」「〇〇です」「見せてください」「(少しずれた技)」の4行で1組になります。人数が多いクラスでは、この4行を足すだけで、出番を増やせます。

ほかの昔話で作るときのヒント

ももたろう以外の昔話でも、同じ手順で台本が作れます。ずらし方の例を、昔話ごとにまとめました。

昔話ずらし方の例
浦島太郎玉手箱を開けるかどうか、浦島太郎がずっと迷う
鶴の恩返し「のぞかないでください」と言った鶴が、何度ものぞいてほしそうに戻ってくる
おむすびころりん転がるおむすびの目線で、穴に落ちるまでを語る
ねずみのよめいりいちばん強いお婿さん探しを、対戦番組のように進める
金太郎クマとのすもうに、行司と実況がついて大会になる

昔話の中には、こわい場面や乱暴な場面があるものもあります。学芸会では、そうした場面を話し合いや仲直りに変えると、見る人も演じる子も安心です。もっと短いコントから始めたいときは「小学生が演じるコント台本」も参考にしてください。

よくある質問

学芸会の劇は、何分くらいにすればいいですか?

学校が決めた持ち時間に合わせます。子どもは話すのがゆっくりなので、セリフは1分200字ほどで見積もると余裕があります。この台本は約5分なので、長くしたいときは、動物を増やしたり、鬼ヶ島の場面を足したりしましょう。

元の話と結末を変えてもいいですか?

大丈夫です。昔話は、語る人によって少しずつ形を変えながら伝わってきました。「桃から生まれる」「鬼ヶ島へ行く」のような大事な所を残せば、ももたろうの話だと伝わります。

体育館の舞台で、後ろの席まで伝わるか心配です。

お面や看板を大きく作り、動きを大げさにすると、遠くからでも分かりやすくなります。舞台での見え方は「文化祭のコントネタ」で紹介しているコツも使えます。

まとめ

  • 昔話をコメディにするには、筋はそのままに、ずらし方を1つだけ決める
  • 絵本の文章は写さず、筋だけを借りて自分たちの言葉で書く
  • 場面ごとにボケを1〜2個入れ、くり返しのセリフで笑いを重ねる
  • 交代制やグループ役、受けに来る動物を増やす工夫で、全員に見せ場を作る
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