見た目や年齢、名前、出身をいじられたときは、無理に笑いで返さなくて大丈夫です。こうした「本人が選べないこと」へのいじりは、言う側に悪気がなくても、人を傷つけやすいからです。短い一言でその話題を終わらせるか、嫌だとはっきり伝えるか、自分が楽なほうを選びましょう。
この記事では、その場を軽く終わらせる返し方と、線を引く言い方を紹介します。その場にいた人ができることや、いじる側が気をつけたいこともまとめました。
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見た目・年齢・名前・出身のいじりが、ほかのいじりと違う理由
失敗やくせへのいじりなら、「次は気をつけます」と笑って終われることもあります。けれども、見た目や年齢、名前、出身は、本人が選んだものでも、すぐに変えられるものでもありません。言われるたびに、どうにもできない気持ちが残ります。
| くらべること | 行動や失敗へのいじり | 見た目・年齢・名前・出身へのいじり |
|---|---|---|
| 本人が選んだか | 自分で選んだ行動が多い | 選んでいない、変えられない |
| 終わり方 | 「次は気をつける」で終われる | 終わりがなく、くり返されやすい |
| 傷つく人 | 言われた本人 | 同じ特徴を持つ、その場のほかの人も |
| 職場では | 内容しだい | ハラスメントにあたることがある |
笑って返せないのは、ノリが悪いからではありません。 もともと笑いの材料にしてはいけない話題だからです。行動や失敗へのいじりの返し方は、「いじられたときの返し方」で紹介しています。この記事では、「選べないこと」へのいじりにしぼって話を進めます。
無理に笑わず、その場を終わらせる返し方
その場の空気を大きく変えたくないときは、短い一言で話題を終わらせる方法があります。ねらいは、笑いを取ることではなく、その話題を続けさせないことです。自分を下げて笑いを取る返しは、次のいじりを呼びやすいので避けましょう。
返し方は、大きく分けて3つあります。
- 短く受けて、話題を変える(「そうですか。ところで〜」)
- 落ち着いて質問で返し、相手に考えてもらう(「それ、今の話に関係あります?」)
- 大事にしていることを伝える(名前の由来や、地元の好きなところを話す)
いじられた内容ごとに、返しの例をまとめました。どれも、笑わずに落ち着いた表情のまま言うのがコツです。
| いじられた内容 | 返しの例 | ねらい |
|---|---|---|
| 体型や顔のこと | 「そうですか。それより、さっきの件ですが」 | 反応せずに話題を変える |
| 体型や顔のこと(くり返される) | 「それ、今の話に関係あります?」 | 相手に、自分の言葉を考えてもらう |
| 年齢が上であること | 「年齢の話は置いておいて、本題に戻りましょう」 | 話を本題に戻す |
| 年齢が若いこと | 「経験はこれから積みます。今日の分は、しっかり準備してきました」 | 中身の話に移す |
| 名前の読み方や珍しさ | 「〇〇と読みます。祖父がつけてくれた名前なんです」 | 大切にしていると伝える |
| 方言や話し方 | 「方言、気になります? 地元のいいところなら3つ言えますよ」 | 好きなことの話に変える |
| 出身地への決めつけ | 「地元の人が、みんなそうというわけではないですよ」 | 決めつけをやわらかく正す |
黙って話題を変えるだけでも十分
どの返しが正解ということはありません。相手との関係や、その場の状況で選べば大丈夫です。言葉が出てこないときは、笑わずに少し間をおいて、別の話を始めるだけでも、その話題は終わりやすくなります。
とっさに言葉が出ない人は、鏡の前で練習しておくと安心です。落ち着いた表情のまま、「ところで〜」と話題を変える一言を言ってみましょう。表情と言葉を一度合わせておくと、いざというときに出しやすくなります。
嫌だとはっきり伝える言い方(線を引く)
くり返されるときや、話題を変えても続くときは、はっきり伝えてかまいません。いきなり強く言う必要はなく、次の段階で少しずつ線を引いていけます。
| 段階 | 言い方の例 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 1. 表情で伝える | 笑わずに、少し間をおく | 1回目で、軽い言い方のとき |
| 2. 短く止める | 「その話題は、やめておきましょう」 | その場で止めたいとき |
| 3. 気持ちを言う | 「見た目のことを言われるのは、好きじゃないんです」 | くり返されるとき |
| 4. はっきり断る | 「年齢のことを言うのは、やめてください」 | 前に伝えても続くとき |
言い返されたときに、そのまま使える一言も用意しておきましょう。
冗談なのは分かっています。でも、私は嫌なんです。
ノリの問題ではなくて、その話題が苦手なんです。
ほかの話なら、いくらでも乗りますよ。
その場で言いにくいときは、あとで二人きりのときや、メッセージで伝える方法もあります。
少しお時間よろしいですか。
飲み会で、私の名前を使った冗談が何度か出ていましたよね。
名前は家族がつけてくれた大事なものなので、笑いのネタにされるのはつらいんです。
これからは控えていただけると、ありがたいです。
この前、言いそびれたから書くね。
体型のこと、冗談でも言われると結構へこむんだ。
これからも仲よくしたいから、ちゃんと伝えておきたくて。
職場で続くときは、一人で抱えない
容姿や年齢についての発言がくり返されると、職場ではハラスメントにあたることがあります。社内の相談窓口や人事、信頼できる上司に相談しましょう。言われた日時と言葉、周りにいた人をメモしておくと、相談するときに役立ちます。社内で相談しにくいときは、都道府県の労働局などの公的な相談窓口もあります。
よくある場面別の伝え方
同じ「線を引く」でも、相手や場面によって、言いやすい言葉は変わります。よく困る3つの場面での伝え方を紹介します。
家族や親戚の集まりで言われたとき
親戚は、久しぶりに会うと、見た目や年齢のことを悪気なく口にしがちです。言い返して空気を悪くしたくないときは、相手の近況を聞いて、話題を相手に移しましょう。何度も続くなら、親しい家族に「その話はしないでほしい」と先に伝えておき、間に入ってもらう方法もあります。
元気にやってるから、大丈夫だよ。
それより、おじさんの畑、今年はどうだった?
見た目にちなんだあだ名をやめてほしいとき
昔からのあだ名は、呼ぶ側にとっては親しみのしるしのつもりです。やめてほしいときは、「やめて」だけで終わらせず、代わりの呼び方を伝えると受け入れてもらいやすくなります。
そのあだ名、そろそろ卒業させてください。
これからは、下の名前で呼んでもらえるとうれしいです。
大勢の前で言われたとき
大勢の前では、長く言い返すほど注目が集まり、つらくなりがちです。その場では「その話は、また今度で」と短く止めるだけにして、くわしいことはあとで本人に個別に伝えましょう。その場で目が合った人や、あとで声をかけてくれた人は、相談するときの味方にもなってくれます。
その場にいた人ができること
誰かが見た目や年齢をいじられているのを見たら、周りの人の反応で、その場の流れは変わります。大きく注意しなくても、できることはあります。
- 一緒に笑わない(笑い声が、いじりを続けさせる力になるため)
- 話題を変える:「そういえば、来週の予定ってどうなりました?」
- 軽く止める:「それ、言わなくてよくない?」「その話はやめとこう」
- あとで本人に声をかける:「さっきの、嫌だったよね。大丈夫?」
あとでかける一言は、いじられた人にとって大きな支えになります。「気づいてくれた人がいた」と分かるだけで、気持ちが少し軽くなるからです。
いじる側にならないために、言う前に確かめること
いじりは、言う側が「仲がいいから大丈夫」と思っていることが多いものです。けれども、相手の本当の気持ちは、顔を見ただけでは分かりません。人の見た目や年齢に何か言いたくなったら、口に出す前に次のことを確かめましょう。
言う前に確かめること
- 相手が自分で選んだこと、変えられることか
- その場に、同じ特徴を持つ人がいないか
- 自分の立場が上で、相手が言い返しにくくないか
- 相手の笑顔は、本当の笑顔か
- 前にも同じことを言っていないか
ひとつでも気になったら、言わずにおきましょう。笑いを取りたいなら、身の回りの出来事や、自分の小さな失敗を材料にするほうが、その場の全員が安心して笑えます。人を材料にしないで話を面白くする方法は、「面白い話し方のコツ」で紹介しています。
もし言ってしまったと気づいたら、言い訳をせずに、短く謝ります。
さっきの言い方、よくなかった。ごめんね。もう言わないようにする。
よくある質問
笑って流したほうが、場の空気を壊さないのではないですか?
一度笑って流すと、「この話題は大丈夫」と受け取られ、くり返されることがあります。笑わずに話題を変えるだけなら、場の空気はそれほど変わりません。自分の気持ちを守ることを優先して大丈夫です。
自分から見た目をネタにするのはいいですか?
自分のことなので、話すかどうかは自分で決めてかまいません。ただ、周りが反応に困ったり、同じ特徴を持つ人が気まずく感じたりすることがあります。笑いを取るなら、出来事や失敗を材料にするほうが聞く人も笑いやすくなります。くわしくは「自虐ネタの例と使い方」で紹介しています。
相手が上司で、はっきり言えません。
最初は、段階1と2の「表情で伝える」「短く止める」からで大丈夫です。直接言いにくいときは、信頼できる別の上司や、社内の相談窓口に相談する方法もあります。
まとめ
- 見た目・年齢・名前・出身のいじりは、無理に笑って返さなくてよい
- 返すなら、話題を変える、質問で返す、大事にしていることを伝える
- 嫌なときは、表情、短く止める、気持ちを言う、はっきり断る、の順で線を引く
- その場にいた人は、一緒に笑わず、話題を変えて、あとで声をかける
- 言う側は、相手が選べないことを笑いの材料にしない






