本文へジャンプ

公明新聞リレー連載「授業に笑いを!お笑い教師同盟の挑戦」
第5回「「変身パフォーマンス」で盛り上げろ!」
田中光夫(東京都)
(『公明新聞』2007年3月10日掲載)


 今、多くの学校で「ゲストティーチャー」を招いた授業が進められています。担任ではない「先生」の登場により、教室は程よい緊張感に包まれ、子どもたちは目を輝かせてながら地域の職人さんや専門家のお話しに聞き入ります。それは「たまには担任以外の授業も受けてみたい」というサインの表れでもあります。
 例えば国語の授業。担任による授業がメインです。音読に繰り返し取り組むことで、慣れ、自信がつき、徐々に大きな声ですらすらと音読が出来るようになります。しかし、次第に発表者の「すらすら読み」は「だらだら読み」に、手遊びに夢中で友達の音読に耳を傾けられない子、教科書を目で追えない子が出始めます。
 最大の原因は「慣れ」にあります。「慣れ」とは怖いもので、次第に「飽き」が生じ、気がつけば「だれ」へと変わります。
 そんな時、空気を変えるのに有効なのが、教師がゲストティーチャーに変身する「変身パフォーマンス」です。
 国語の授業中、突然私の携帯電話が教室に鳴り響きます。(あらかじめアラーム機能を設定しておきます) 
 「もしもし。えっ!?分かりました、すぐ向かいます!」
 深刻な顔で電話に出る私。
 「先生、どうしたの?」
 「緊急事態だ!職員室に行ってきます。代わりの先生を呼んでくるから教科書を音読して待っていてください!」
 一様に「何があったんだろう?」という子どもたち。
 その間、私は廊下でサングラスに帽子と、映画監督の衣装に早着替え。メガホン片手にいざ教室へ。
 「あー!田中先生、何その格好!」
 子どもたちからのツッコミの嵐!教室内にどっと笑いが起こります。
 「田中先生ではない!担任の先生の代わりに来た、映画監督の『ドン・タナー』である!」
 私が変装していることはバレバレですが、「何が始まるんだろう?」と、変身してきた担任の姿に、どの子も興味津々な面持ち。
 「今日私が来たのは他でもない。今からこの春の最新映画の緊急オーディションを行う。みんな、台本は持ってきているな?」(台本、すなわち教科書)
 「おぉ〜!すごーい!」「聞いてないよ〜」と、子どもたちのテンションは一気に上がります。
 そこで、さっと気分を変えさせます。「笑い」から「緊張感」に空気を変えるのです。

 「今から台本の読み合わせを行う。しっかり読み込んできているはずだな?私の『アクション』の合図で読み始めなさい、途中で引っかかったり読み間違えたりしたら『カット』をかける。では、3分間練習始め!」
 日頃読み慣れた教科書にもかかわらず、どの子も真剣な表情で練習に取り組みます。

 「ではオーディション本番いくぞー。まずは君から。『よーい、アクション!』」
 程よい緊張感によって、今までの「慣れ」の雰囲気が一変。手遊びに夢中で音読に耳を傾けられなかった子が身を乗り出し、「どこでカットがかかるかな?」と教科書を熱心に目で追いながら聞き始めます。
 「カーット!」の後は、厳しかった監督が一転、優しいフォローの声かけで温かい雰囲気を作ります。それにより、「失敗しても大丈夫」という安心感をつくります。このギャップが子どもたちを乗せるコツ。
 「次のオーディション希望者は?」の監督の声に「やりたいやりたい!」と、どっと手があがります。こんな「変身パフォーマンス」で、子どもたちのやる気を高めています。


この文章は、2007年に公明新聞の教育欄に掲載されたものです。掲載にあたっては、公明新聞の許諾を得ております。