公明新聞リレー連載「授業に笑いを!お笑い教師同盟の挑戦」
第14回「教室にお笑い劇場の要素を取り入れる」
〜シマシマ先生で話しかけられやすい環境を〜

福岡亮治(京都府)
(『公明新聞』2007年7月28日掲載)


 私は現在,小学校の教師として教壇に立っていますが,前職は「お笑い芸人」でした。ある日,私が教育大学に通いながら芸人をしていることを知ったある先輩から「芸人としての経験を生かせば,お前は生きた教材になれる。夢を語る教師になれ!」とアドバイスをいただき,教育の世界へ進みました。
 芸人時代は,吉本新喜劇の舞台に立っていましたが,なかなか笑いをとることのできず,私は悩み続けていました。そして,あることに気がつきました。
「自分にはキャラクターがない・・・」
 キャラづけができていればいるほど笑いを取りやすい環境になります。その理由はこうです。役者としてのキャラクターがあれば,お客さんが「親近感」を持ちます。そして,「その人を見たい,もっと知りたい」という環境ができあがり,このことが笑いに繋がります。つまり「見せるのではなく見たくなるようなキャラクター作り」が大切なのです。その後,私はたくさんのキャラクターを模索しましたが,結局,何も見つからないままお笑いの世界を引退・・・。
 しかし,この努力は無駄ではありませんでした。「見せるのではなく見たくなるようなキャラクター作り」これは教育の世界でも同様のことが言えるのです。新年度に子ども達は,「新しい先生ってどんな人だろう?」と教師から一歩離れて観察します。「先生!先生!」と話しかけてくる子どもは話せば話すほど「親近感」を持ってくれます。しかし,一歩離れたままの子どもとの距離はこちらから話しかけないと縮まりません。全員と話をするにはたくさんの時間を要します。だから
「話しかけるではなく,話したいという環境づくり」
が大切になってきます。そこで新喜劇と同様に教師にキャラクターづけをすることを考えました。私は,子どもとの出会いの中で自己紹介の時に「先生は,シマシマが大好きです。いつも体のどこかにシマシマがあります。探してみてください」と言いました。その日は,靴下,シャツ,上着,ハンカチ,靴など身につけるものすべてをシマシマづくしで教壇に立ちました。そうするだけで,子どもには「面白そうな先生だな」「話しかけやすそうな先生だ」と印象を付けることができ,子ども達との距離が縮まります。子ども達は「どこにシマシマがあるのだろう」と私に注目します。そして,「先生!シマシマ見つけたよ」とたくさんの子ども達が,毎朝,話かけにくるようになってきました。これが子ども達との会話のきっかけとなります。そして,会話を重ねることで「親近感」を持ち,安心して授業を受ける環境が出来上がっていきます。
 私のクラスづくりはいつもこのように行っています。吉本新喜劇では,お客さんに受け入れていただくキャラクターを作り上げることはできませんでしたが,教育の世界で生かすことができました。「芸人としての経験を教育に生かす」芸人時代の先輩からいただいたアドバイスがようやく花咲いてきました。


この文章は、2007年に公明新聞の教育欄に掲載されたものです。掲載にあたっては、公明新聞の許諾を得ております。