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公明新聞リレー連載「授業に笑いを!お笑い教師同盟の挑戦」
第13回「授業に雑談を」
山田洋一(北海道)
(『公明新聞』2007年7月14日掲載)


 授業には、「空白」がつきものです。この場合の「空白」というのは、作業の速い子が作業の遅い子を待つ「何もすることがない状態」を言います。この「空白」を埋めるということが、教師の力量に大きく関わると教育界では考えられています。なぜかというと、 何もすることがない子どもたちが騒ぎはじめ、そこから授業が成立しなくなることが、し ばしばあるからです。
 そこで、教師たちはこの「空白」を埋めるための研究をたくさんしてきました。例えば、速く終わった子どもには、さらに違う発展問題を与えたり、国語であれば教科書の音読 を課したり。しかし、こうした手法は、どうも「速くできたもんは、だまっとれい!」という教
師の圧力丸出しで、子どもたちには評判が良くありません。そこで、私が考えたのは、 「空白」の時間に面白い雑談をするということでした。国語の授業で漢字のミニテストをします。答え合わせをした後、正しい漢字を書き写す時間があります。9割方の子どもた
ちがすでに書けています。そして、残りの子どもたちは、あと1,2個漢字を書けばいいだけです。
 このタイミングで私は話し始めます。「この間ねえ、お正月のことなんだけど……」と、ここまで話すと、子どもたちはグッと身を乗り出してきます。書いていない子も、話を聞きたいので、書くスピードを上げます。
 続きを話します。「朝早くね、先生、家の前の除雪をしてたの。そうしたらねえ、隣の家のおじいさんも、ちょうど家の前に出てきて除雪をしてたんだよ……」「うんうん」子どもたちは、相づちを打ちます。「そうしたらね、おじいさんが『あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします』と挨拶されたのでねえ、先生も挨拶を返したんだよ……」「なんて?」と子どもたちが尋ねるので、「うん、先生ねえ『今年、こそ、よろしくお願いします、って」ここで、子どもたちは大笑いします。そして、「先生、それって失礼じゃない」「去
年は、どうだったの?っていう感じ!」とツッコミを入れてきます。「そうなんだよ、朝早かったからねえ。先生、頭が働いてなくって、そんなこと言っちゃった」子どもたちは、ますます笑います。そして、ある子が「先生、日本語って難しいよね」と教訓まで語ってくれました。
 さて、こうした雑談を、授業に入れることでいくつかの効果がありました。まず一つめ、教室の雰囲気がとてもあたたかくなりました。速くできた子は、遅い子を待つためのストレスを過度に感じなくなったのです。また、逆に遅い子も「わたしは、遅くてダメな子」と過度
に感じなくても良くなりました。また、保護者にもたいへん喜ばれました。「先生の授業が、『楽しい』って毎日いっていますよ。厳しいけれど、『脱線(雑談)』が楽しいって」という保護者がたくさんいます。雑談の効用はつきません。


この文章は、2007年に公明新聞の教育欄に掲載されたものです。掲載にあたっては、公明新聞の許諾を得ております。