書評(中村健一)


上條晴夫著『お笑いの世界に学ぶ教師の話術』(たんぽぽ出版)
 「脱線トーク」「ツカミの技術」「フリの技術」「フォローの技術」「バラエティゲーム」など、子どもとのコミュニケーションの力を10倍高めるための技術が載っています。中村健一氏による書評(「お笑い教師同盟」メーリングリストに掲載されたものです)

【総論】
 上條さん、みなさん、こんにちは。
 山口県の中村健一です。
 上條さんの新著書『お笑いの世界に学ぶ教師の話術』を入手しました。
 読み始めると、とっても面白くて、一気読み。
 年度末のこの忙しい時にと思いながら、本当に一気に読んでしまいました。
 読みやすく、なおかつ、内容の濃い、読みごたえのある1冊です。
 お笑いを分析する視点が鋭く、なおかつ、教育に役だてようとしているところがすごいなあと思いました。
 いつものことながら、上條師匠(私は勝手にこう呼んでおります)の目のつけどころには、驚かされます。
 ちなみに私は上條師匠を教育界の「異才」だと思っています。教育界の一流人でありながら、他の一流人とちがいますよね。
 さて、この新・上條本の感想を少しずつ投稿していきたいと思います。
 これも、要録等の事務処理が終わったから、できる技。
 教室の片付けなどを気楽にやりながら、投稿してみます。
 絶対、「買い!」の1冊ですよ!!!

【その1】
 みなさん、こんにちは。
 山口県の中村健一です。
 まず、「その1」。
 すごいなあと思ったのが、64ページの「切り返しをする」です。
「先生、その顔でよく生きていけるじゃん」「先生、着てる服ダサいね」など、子どもたちが「傷つけて近寄る」という「交わりのスキル」を持っているということが書いてあります。
 これ、なるほどなあと思いました。
 確かに、今の子どもたちは、こういう近寄り方をしてきます。
 で、これに対する教師の反応で、「お笑い」に対する立場が分かりそうです。
 私のクラスの子どもたちも、私のことを悪く言います。
 しかし、私は気にしてません。むしろ、好かれている証拠と喜んでいます。
 だから、「切り返し」て、それを笑いにもっていくことができるのだと思います。
 子どもたちも、「この先生、話せる」という印象をもつのだと思います。
 ところが、年配(年令だけの話ではないと思いますが・・・強引にくくって、ごめんなさい)の女性の方などは、絶対に許せないようです。
「先生にそんなこと言って・・・そんなこと言っちゃ、ダメ!」と本気で怒ったりします。指導したりします。
 子どもの方はコミュニケーションのつもりなのに、指導の対象とされては、たまりません。子どもたちはどうしても距離をおくようになります。「あっ、この先生、話せない」となる訳です。
 ちなみに、私もいろいろな手で「切り返し」ます。
 本書の佐藤さんのように、ボケるのも手も使います。鈴木さんのように泣くのも使います。(池野めだか氏のようにやります)
 しかし、おすすめは、キレること。カンニング・竹山氏のようにキレると、大ウケです。ダチョウクラブ・上島氏のように帽子を投げつけるのも手です。
 こういう過激なパフォーマンスが子どもたちは好きみたいです。(私の中でブームなのもありますが。特に竹山氏は、往年のとんねるず貴さんを思わせていました。最近、やさしくなったのが、残念)
 以上、「その1」の感想でした。

【その2】
 みなさん、こんにちは。
 山口県の中村健一です。
 さっそく「その2」。
 16ページの「はとバス嬢に学ぶ究極の話術とは」です。
 ここで、上條師匠は「私語とつき合う話術」の必要性を述べておられる。
『授業づくりネットワーク』誌の連載でも述べられていたので、覚えていらっしゃる方も多いでしょう。
 ここからは、いつか書いてやろうと目論んでいるので、「部外秘」。
 というほどのもんじゃないかも知れませんが・・・・。
 半年ぐらい前に、ある研究授業を見ました。
 そのクラスの反応のよいこと、よいこと。
 クラスの雰囲気は上々で、授業も盛り上がっていました。
 で、私は上條師匠の連載を思いだし、分析してみた訳です。
 すると、実にたくみな技術が使われていることを発見たのであります。
 それは、「ワイワイ自由に答えていい発問・質問」と、「手を挙げて答える発問・質問」に分けていること。
「ワイワイ自由に答えていい発問・質問」では、『なにか言ってよ』と私語をうながす教師の働きかけが見られました。
「手を挙げて答える発問・質問」では、『これは、みんなで考えた方がいい問題でしょ。自由に話すのはやめてよ』と私語を禁止する教師の働きかけが見られました。
 実は、「見られました」というほど、はっきりした働きかけがあった訳ではありません。
 研究協議でこのことを指摘しても、その先生は意識して使っていた訳ではありませんでした。自覚せずに、この技術をつかっていたようです。
 そういえば、私の授業もそんなとこあります。だから、ウチのクラスも反応がいいのかも。
 意識してつかってみると、効果テキメンでした。
 これって、上條師匠のいう「私語とつき合う話術」ならぬ「私語とつき合う技術」になりませんかね?
 私の連載コラムででも紹介してみようかな?そう思うぐらい効果があります。(いつかネタに困ったら、「検証!新・上條本」とでも銘打って、その中の1つで書いてみようかな)

【その3】
 
みなさん、こんにちは。
 山口県の中村健一です。
 今日は、「その3」です。
 私が嬉しかったのは、「ツカミ」の必要性を熱く語っていた点です。(24ページから27ページ。上條師匠は、以前からこのことを繰り返し述べられています)
 これ、今までの授業の「常識」を変える提案です。
「漫才」というフィルターを通すと、この話はよく分かると思います。(「お笑い」玄人衆がそろう、このメーリングリストで漫才を話題にするのは怖いのですが)
 漫才の場合、通常、ツカミがあってから、本題に入ります。
 出てきていきなり「しかし、始業式が近いですなあ」とフル人間はいません。
 一番分かりやすいのは、ビッキーズ。彼らにとっては、アメちゃんを配ることがツカミなのです。お客さんの気持ちを盛り上げる最も簡単な方法だと思います。
 この一連の儀式が終わり、お客さんが盛り上がったところで、「しかし、始業式が近いですなあ」とやっと話をフリはじめます。
 今までの授業は、この「ツカミ」をせずに、いきなり本題に入っていました。「しかし、始業式が近いですなあ」といきなりフル漫才のようなものです。
 もちろん、昔の子どもたちならこれで十分だったのでしょうが・・・。今は上條師匠がおっしゃるように、「教室を少し温める」必要があると思います。
 こういうことを考えさてくれるいい本です。みなさん、買いましょう!(師匠、宣伝しておきました)
 そうそう、この話を書いていて、怒りがこみ上げてきました。
 調子にのってぶちまけます。「(その3・おまけ)」で。
                                     中村 健一

【その4】
 みなさん、こんにちは。
 山口県の中村健一です。
 前号の「怒り」を聞いてください。
 地上波のお笑い番組のひどさです。
 このままでは「お笑いブーム」が終わってしまいます。
 そうすると、私のところにも原稿依頼が来なくなる・・・。「お笑い」あっての私ですので。つまり自分自身の危機を感じています。
 まず、「笑いの金メダル」。
 最近、ちゃんとネタをやらなくなりましたねえ。これが許せない。「有田フライデー」と称して、フリートークを中心にしてみたり。変に料理してグルメに逃げてみたり。
 もとのネタ勝負に帰って欲しい!!
 次に、「エンタの神様」。
 ちゃんとネタ勝負なのは、いい。しかし、編集が無茶苦茶。「ツカミ」の部分が省略されているのは、よくある話。さっき例でつかったビッキーズがアメちゃんをまかずに漫才始めた時がありました。
 そして、「フリ」が省略されていることが多い!最近のコントは、実に計算されて「フリ」がたくさんされている場合が多い。たとえば、アンジャッシュ。彼らのコントは前半にたくみにフっておいて、後半で「落とす」ことが多いです。なのにその「フリ」が省略されているから、何がおもしろいのか分からない。スタジオの客だけが笑っている場合があります。アンジャッシュよりよく省略されているのは、ドラングドラゴンかも。
 こう考えてみると、一番マシなのは、「お笑いオンエアバトル」かも。
 みなさん、受信料を払いましょう!(笑)。
 ということで、書いたら、すっきりしました。
 いずれにせよ、私の死活問題ですので。
 聞いてくださって、ありがとうございました。
                                      中村 健一

【その5】
 みなさん、こんにちは。
 山口県の中村健一です。
 久々に「その4」。
 早くも新学期(準備)。忙しくなってきたので、気が向いた時に気ままに投稿していきます。
 私が一番うれしかったのは、私の実践「パパパ隊」が紹介されていること。(「お笑い教育を志す仲間の教師」として登場させていただいてます。うれしい!)

 この実践は「上條理論」を具現化したものだと自負しております。
 2丁けん銃のネタなのですが、詳しくは「新・上條本」の43ページをご覧あれ。
 ちなみに、「上條理論」を紹介すると、次の通り。
 ・お笑いは、「フリ」「オチ」「フォロー(つっこみ)」から成り立つ。
 ・今までの教師は「オチ」を自分で担当しようとして失敗をしてきた。
 ・子どもたちに「オチ」を担当させ、教師は「フリ」「フォロー(つっこみ)」を担当しよう。
 これ、目からウロコでした。
 で、「上條理論」を意識するようになると、いろいろな実践を思いつきました。
 たとえば、「お笑い!お絵かきバトル」。『サザエさんをかけ!』と言われても、子どもたちはうまくかけません。そのうまくかけないという「オチ」の状態に追いこんで、教師がツッコンでやります。
「伝言お絵かきバトル」も同じ。うまく伝えられないという「オチ」の状態に子どもたちを追いこみます。で、教師はツッコんでやるだけで笑いがとれます。
「パパパ隊」の実践しかりです。
 ということで、この「上條理論」の素晴らしさをもっともっと知っていただきたい。
 そのためには、ぜひぜひこの本『お笑いの世界に学ぶ教師の話術』を買っていただきたい。
 たったの1400円でたんぽぽ出版から好評発売中です。
 上條師匠!またまた宣伝しておきました!!
                                      中村 健一

Published: 9月 25th, 2010 at 18:07
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